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自己紹介

てらじま  たけし
寺島 岳史 (Takeshi Terajima)

大阪大学接合科学研究所
特任助教 博士(工学)

〒567−0047 大阪府茨木市美穂が丘11−1
Tel/Fax:06(6879)4370
Email: terajimajwri.osaka-u.ac.jp

専門分野
大気圧非平衡プラズマ(CVD、表面処理、滅菌など)
非平衡材料(金属ガラス、アモルファス合金など)
接合・溶接、材料加工、複合材料、溶射、プラズマ放電焼結、表面改質など

学歴
1999年3月 東京工業大学工学部 有機材料工学科 卒業
2002年3月 東京工業大学大学院 総合理工学研究科物質科学創造専攻 博士前期課程修了
         (研究は東京工業大学応用セラミックス研究所で実施)
2005年3月 東京工業大学大学院 総合理工学研究科物質科学創造専攻 博士後期課程修了
          博士(工学)

職歴
2005年4月- 大阪大学接合科学研究所 金属ガラス・無機材料接合技術開発拠点 特任助教
2010年4月- 大阪大学接合科学研究所 特異構造金属・無機融合高機能材料開発共同研究プロジェクト拠点 特任助教
          (現在に至る)

所属学会
応用物理学会、高分子学会、溶接学会、日本金属学会、日本材料学会

趣味
自転車(ロードバイク)、スキー、機械いじり

研究概要 (pdf版はこちら)

大気圧非平衡プラズマの生成と応用
(平成12年〜17年 東工大総理工博士前・後期課程)
 

 非平衡プラズマは低温で多量のフリーラジカルを生成するためCVD、エッチング、洗浄などの半導体プロセッシングなどに欠かせません。しかし通常は数torrの減圧下で生成するため真空装置の導入、維持に多額のコストがかかることが問題でした。そこで大気圧でも安定なVacuum-Freeのグロー放電発生装置の開発に取り組みました。
 電極や電圧波形に工夫を加えることで大気圧下でプラズマを生成することに成功しました。プラズマ診断の結果、ガス温度は低い(450℃)が電子温度は異常に高い( 1.5keV)非平衡プラズマであることが分かりました。これによりプラスチックなどの熱可塑性材料に対するプラズマプロセスを大気圧で施行することが可能になりました。このプラズマ活性反応場を用いてエステルの直接合成、ナノ炭素材料(グラファイト、C60など)の合成、プラズマCVD、滅菌などの応用研究を行い減圧プラズマと同等以上の有用性を持つことを証明しました(図1)。


金属ガラスの接合と加工
(平成17〜 阪大接合研 特任助教)

 金属ガラス(バルクアモルファス合金)は結晶粒界、格子欠陥が無いため類似する結晶合金と比較して耐腐食性や強度などに優れます。しかし液相からの冷却速度が臨界値よりも遅いと直ちに結晶化して脆弱な金属間化合物を生成します。そのため抵抗溶接などの汎用機を用いた溶接では継手が結晶化して本来の性能を発揮できない弱点がありました。またそれにより産業応用の範囲が制限されてきました。私は金属ガラスの接合と加工技術開発を命題として溶接プロセスの開発(ファイバーレーザ溶接)、金属ガラス複合材料、金属ガラスをろう材として用いた接合、サーメット/金属ガラスの複合溶射など幅広く研究を行いました。主な成果を以下に挙げます。


【金属ガラスの溶接】

 継手の冷却速度を向上させるためにはなるべく少ない入熱量で溶接する必要があります。そこで超高エネルギー密度熱源であるファイバーレーザ(パワー密度: 数MW/cm2)を使用してZr基金属ガラス(Zr55Al10Ni5Cu30)のレーザ溶接を行いました。その結果アモルファスを維持したままビードオンプレート溶接することに成功しました。
 一方でMg基金属ガラス(Mg65Cu25Gd10)はガラス形成能が極端に低いためファイバーレーザ溶接法を用いても接合が不可能でした。そこで更なる冷却速度の向上のために「突合せレーザ溶接法」を開発して、世界で始めてMg基金属ガラスの溶接に成功しました(図2)(特許申請中)。本溶接法は突合せた試験片に荷重を加えながら高速回転させてレーザ溶接を行います。溶融部の大半は遠心力で吹き飛ぶため実質的に熱量が奪われて継手の冷却速度が向上することを実測及び計算で明らかにしました。また仮に溶融部内で結晶化が起こったとしても残った溶融部はバリとして継手外に押し出されるためアモルファスの正常な継手を得られることに特徴があります。本接合法の開発によりガラス形成能が極端に低い金属ガラスの溶接や、異種材料との接合へ展開が期待できます。


【金属ガラス複合材料】

 Zr基金属ガラスは強度に優れるが脆性的であるため構造材料として用いるには必ずしも適当ではありません。そこで機械的性質を改質するためにW微粉末をZ基金属ガラスに均一分散した複合材料の開発を行いました。独自改良した鋳造法によりW/Zr55Al10Ni5Cu30金属ガラス複合材料を作製することに成功しました(図3)。圧縮試験の結果Wを8.7vol%添加すると塑性歪みが1.3%発現し、破断強度は1480MPaから1870MPaに向上しました。またWの分散比率を変えることで線膨張係数を自在に制御することに成功しました。金属ガラスの異種材料接合で問題となる膨張係数ミスマッチの低減効果が期待できます。


【金属ガラスの高速フレーム(複合)溶射】

 高速フレーム溶射法(HVOF)を用いてFe基金属ガラス(Fe43Cr16Mo16C15B10)粉末から金属ガラス溶射皮膜を作製することに成功しました。さらにWC/12Coサーメット粉末を混合することでFe基金属ガラス中に扁平化したWC/12Coが分散した複合溶射皮膜を得ました(図4)。金属ガラス特有の耐食性とWC12Co特有の硬さ、耐摩耗性を併せ持つコーティングの創成に成功しました。


【金属ガラスと異種材料の接合】

 金属ガラスの異種材料接合では界面近傍で組成変動が起こります。そのため界面近傍のガラス形成能低下、反応層、残留応力など複数のパラメータが継手強度に影響します。これらを明らかにするためにPd基金属ガラス(Pd40Cu30Ni10P20)をろう材としてCuの接合を行いました(図5)。
 接合後に急冷することによりPd基金属ガラスとCuの接合体を得られた一方でPd40Cu30Ni10P20/Cu接合界面ではCu3Pdの柱状組織が観察されました。界面近傍の組成変動やCuを核とした結晶化について議論を行い、金属ガラスの異材接合における問題点を明らかにしました。


【金属ガラスの表面メタライズ】

 はんだ接合はプロセス温度が低いため金属ガラスを結晶化させることなく接合できる方法として期待されています。しかしCu36Zr48Al8Ag8金属ガラスの表面は強固な酸化被膜で覆われているためはんだのぬれが乏しいことが知られています。そこでCu36Zr48Al8Ag8金属ガラス表面にCuメタライズを施し、酸化被膜の形成の抑止を検討しました。Cuメタライズは独自開発した鋳造法を用いてCu薄膜を溶着して行いました。
 その結果、図6に示すようにCu薄膜とアモルファスのCu36Zr48Al8Ag8金属ガラスを金相学的に連続に溶着させることに成功しました。
 溶湯周りの熱履歴のシミュレーションの結果から、Cu薄膜は溶湯の余熱で瞬時に半溶融して溶着し、その直後に溶湯は1000K/s以上の冷却速度で急冷されてアモルファスを形成することが分かりました。またオージェ電子分光分析によりCuメタライズ層が酸化被膜の形成を抑止する役割を果たしていることが明らかになりました。結果としてCuメタライス金属ガラスは鉛フリーはんだに対して良好な濡れを示すことが明らかになりました。


【膨張係数がゼロの金属ガラス複合材料】

 負の膨張係数を有する逆ペロブスカイト型窒化物Mn3(Cu0.53Ge0.47)Nと金属ガラスFe43Cr16Mo16C15B10を複合化して正味の膨張係数がゼロのアモルファス複合材料を開発しました。複合化はそれぞれの混合粉末をプラズマ放電焼結して行いました。
 ガラス転位温度(Tg=863K)付近で焼結を行うとFe43Cr16Mo16C15B10金属ガラスは過冷却液体状態に転移するため高密度のMn3(Cu0.53Ge0.47)N / Fe43Cr16Mo16C15B10金属ガラス複合体を得る事ができました。温度-歪み特性を測定した結果、室温±20K以内において膨張係数をゼロに制御することに成功しました(図7)。
 温度変化による熱膨張揺らぎを嫌う精密光学部品などでは、これまでセラミックス系のゼロ膨張係数材料が使われてきましたが、それに代わる金属系材料として期待できます。精密加工性、強度、生産性が大幅に向上します。
 
 図7 Mn3(Cu0.53Ge0.47)N / Fe43Cr16Mo16C15B10金属ガラス複合体の温度-歪み特性

業績リスト (pdf版はこちら)

学術論文
   
2012
「Cu metallization of the Surface of Cu-Zr-based Metallic Glass」
Takeshi Terajima
J. Alloys Compd., J. Alloys Compd, vol. 536S, S113-S116 (2012)

2011
「Development of Cu-Clad Metallic Glass for Soldering」
Takeshi Terajima
Materials Science Forum, vol.706-709, 1343-1347(2011)
「金属ガラスの接合・加工技術」
寺島岳史
高温学会誌, vol.37, 166-173 (2011) (解説)
「Cu薄膜溶着Cu-Zr系金属ガラスの開発とはんだぬれ性」
寺島岳史, 木村久道, 井上明久
高温学会誌, vol.36, 123-128 (2011)
「Cu-Zr based Bulk Amorphous Alloy Surface-Metallized with Cu」
Takeshi Terajima, H. Kimura and A. Inoue
Frontier of Appl. Plasma Technol., vol. 4, 103-107 (2011)

2010
「Buttwelding of Mg-Cu-Gd Bulk Metallic Glass using a High-brightness Fiber Laser」
Takeshi Terajima, Hisamichi Kimura and Akihisa Inoue
Trans. JWRI, vol. 39, 61-64 (2010) (紀要)
「Laser Direct Joining of Glassy Metal Zr55Al10Ni5Cu30 to Engineering Plastic Polyethylene Terephthalate 」
Yousuke Kawahito, Yusuke Niwa, Takeshi Terajima and Seiji Katayama
Mater. Trans., vol. 51, 1433-1436 (2010)
「Composite Coating Containing WC/12Co Cermet - Fe-based Metallic Glass Deposited by High-Velocity Oxygen Fuel Spraying」
Takeshi Terajima, Fumiya Takeuchi, Kazuhiro Nakata, Shinichiro Adachi, Koji Nakashima, Takanori Igarashi
Journal of Alloys and Compounds, vol.504S, S288-S291 (2010)
「Sterilization of Microorganisms using Atmospheric-Pressure Cold Plasma」
Takeshi Terajima, Hideomi Koinuma, Hiroichi Terada, Asaaichi Fukunaga
Frontier of Appl. Plasma Tech., vol.3 no.1 29-34(2010)
「Laser Butt Welding of The Mg-Based Metallic Glass」
Takeshi Terajima, Kazuhiro Nakata, Hisamichi Kimura, Akihisa Inoue
Ceramics Transactions, vol.219, 55-60 (2010)
「W強化Zr基金属ガラスの作製と評価」
寺島岳史, 中田一博, 木村久道, 井上明久
日本金属学会誌, vol.74, 85-88 (2010)

2009
「Tribological properties of WC/12Co cermet - Fe-based metallic glass spray coating」
Takeshi Terajima, Fumiya Takeuchi, Kazuhiro Nakata, Shinichiro Adachi, Koji Nakashima, Takanori Igarashi
Transactions of JWRI, vol.38, 75-79(2009)(紀要)
「Development of W-reinforced Zr-based metallic glass」
Takeshi Terajima, Kazuhiro Nakata, Hisamichi Kimura and Akihisa Inoue
Materials Transactions, vol.50, 1322-1325(2009)

2008
「Brazing of Cu with Pd-based metallic glass filler」
Takeshi Terajima, Kazuhiro Nakata, Yuji Matsumoto, W.Zhang, Hisamichi Kimura and Akihisa Inoue
Materials Science and Engineering B, vol.B148, 128-131(2008)
「High-power fiber laser welding and its application to metallic glass Zr55Al10Ni5Cu30
Yosuke Kawahito, Takeshi Terajima, Hisamichi Kimura, Toshio Kuroda, Kazuhiro Nakata, Seiji Katayama and Akihisa Inoue
Materials Science and Engineering B, vol.B148, 105-109(2008)
「Effect of cooling rate on brazing Cu with Pd40Cu30Ni10P20 filler」
Takeshi Terajima, Kazuhiro Nakata, Yuji Matsumoto, W.Zhang, Hisamichi Kimura and Akihisa Inoue
Smart Processing Technology, vol.2, 195-198(2008)

2007
「Resistance welding by inserting wires between joint interfaces」
Takeshi Terajima and Toshio Kuroda
Solid State Phenomena1, vol.27, 343-347(2007)
「Precise resistance welding with wire insert」
Takeshi Terajima and Toshio Kuroda
Materials Science Forum, vol.539-543, 3900-3905(2007)
「Micro Flash Welding of Super Duplex Stainless Steels」
Toshio Kuroda, Kenji Ikeuchi, Takeshi Terajima
Materials Science Forum, vol.539-543, 979-3984(2007)

2006
「Preparation conditions and characterization of self-planarized Bi2Sr2CaCu2Ox stacks」
K. Okanoue, R. Fachamroon, M. Suzuki, N. Yokawa, M. Hirai, H. Suematsu, K. Hamasaki, H. Shimakage, Z. Wang, T. Terajima and H. Abe
PhysicaC: Superconductivity, vol.445-448, 876-879(2006)

2005以前
「Development of a combinatorial atmospheric pressure cold plasma processor」
Takeshi Terajima, Hideomi Koinuma
Applied Surface Science, vol.223, 259-263(2004)
「Fabrication of carbonaceous thin films and clusters using the low temperature rf plasma generated under atmospheric pressure」
Takeshi Terajima, K. A. Chaudhary, Kiyoto Inomata and Hideomi Koinuma
New Diamond and Frontier Carbon Technology, vol.13, 231-244(2003)
「A cold plasma generator and its applications to combinatorial copolymerization of carbon dioxide with organic molecules」
Takeshi Terajima, Hideomi Koinuma
Macromelecular Rapid Communications, vol.25, 312-314(2000)

Proceedings
「Generation of Non-Equilibrium Glow Discharge Plasma in Atmospheric-Pressure and its Application for Sterilization」
Takeshi Terajima, Hideomi Koinuma, Hiroichi Terada and Asaichi Fukunaga
Proc. 17th Annual Meeting of IAPS Int. Workshop 2010, 89-90
「Sterilization Using glow discharge at one atmospheric pressure」
Takeshi Terajima, Hideomi Koinuma, Hiroichi Terada and Asaichi Fukunaga
Adv. in Appl. Plasma Sci., Vol.7, 267-269(2009)
「Sterilization using atmospheric-pressure cold plasma」
Takeshi Terajima, Hideomi Koinuma, Hiroichi Terada, Asaaichi Fukunaga
Proc. Plasma Science Symposium2009/36th Symposium on Plasma Processing, 502-503(2009)
「High Power Fiber Laser Processing of Zr-Based Metallic Glass」
Takeshi Terajima, Yousuke Kawahito, Seiji Katayama, Kazuhiro Nakata, Hisamichi Kimura Akihisa Inoue
Proc. Int. Conf. on Welding Sci. and Eng. 2009, 162-167(2009)

競争的研究資金

・   科学研究費補助金 若手研究(B) (2012-2013年度)
「液中アークを用いたアモルファス合金ナノ粒子の合成と触媒への応用」
研究代表者
KAKENへのリンク

・   平成24年度(財)京都技術科学センター研究開発助成
「液中アークを利用したアモルファス合金ナノ粒子の作製と触媒への展開」
研究代表者
(財)近畿地方発明センターへのリンク

第26回(財)マツダ財団研究助成-科学技術振興関係 (2010年度)
「金属ガラスに対するCu薄膜溶着技術の開発とはんだ接合への応用」
研究代表者 (贈呈書)
(財)マツダ財団へのリンク

科学研究費補助金 若手研究(B) (2010-2011年度)
「負膨張材料の複合化による膨張係数がゼロのバルク金属ガラス創製および加工性評価」
研究代表者
KAKENへのリンク

受賞

・   平成23年度(社)高温学会論文賞 (2012年3月31日)
「Cu薄膜溶着Cu-Zr系金属ガラスの開発とはんだぬれ性」
筆頭著者
表彰状

→特異構造金属・無機融合高機能材料開発共同研究プロジェクト拠点へのリンク