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- イオンビーム支援蒸着法
- 電子ビームによるホウ素の蒸着と同時にイオンビーム(アルゴン+窒素混合)を照射してcBN薄膜を形成し、膜の相構造、化学結合性および微細構造に及ぼすイオン照射の影響について調べた。
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- アルゴン:窒素混合比ならびに照射イオンエネルギーを最適化することにより、sp3結合相の形成割合が極めて高く(〜90%)、多結晶質(結晶子サイズ数10nm)のcBN薄膜を形成した。
- 成膜初期段階で基板表面に平行方向に配向したsp2結合相のtBN形成を経て、その上層ではsp3結合相が選択的に成長することを、フーリエ変換赤外吸収分光法ならびに断面高分解能透過電子顕微鏡観察により明らかにした。
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- X線光電子分光法による化学結合状態の評価を行い、cBN層では、sp2結合相に起因するパイ・プラズモンが極めて抑制されていることが明らかとなった。価電子帯スペクトルについては、高圧合成法によるバルクcBN結晶と同様の構造となっていることが観測され、価電子帯の状態密度に関する理論的予測とも良い一致を示すことが確かめられた。
- 基材とcBN層の間にBN中間層を挿入した2層構造のBN薄膜の応力の緩和効果と膜特性について調べた。cBN層単体膜では、2-3GPaに及ぶ巨大な圧縮応用力が発生し、これが膜の剥離・破砕の主因になっていること、また中間層として硼素含有量の高い(B/N〜10)BN層を形成することにより、膜全体の圧縮応力が1/5程度まで緩和され、硬度の低減を伴うことなく密着性が格段に向上することを実験的に示した。
- また、このBN薄膜では、1Nの塩酸に対する優れた耐腐食性とともに、高温での硝子接触に対しても優れた化学的安定性を示すことも明らかとなった。
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- さらに、ナノインデンテーション法による微小硬度測定を行い、cBN薄膜の硬度が60GPaに達し、バルクcBNと同程度になることが明らかとなった。
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- しかし、中間層により応力緩和を施した試料においても、FTIRによる赤外吸収ピークシフトから、cBN層の膜厚の増大とともに圧縮応力が薄膜中に蓄積し、500nm程度の膜厚では格子歪みに換算して1%程度の圧縮歪みに相当することも明らかとなった。
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