日経ナノテクノロジー PDFplus 2005年(平成17年)7月25日 No.45
阪大、中空ナノ粒子で超軽量な構造材料を作製
大阪大学接合科学研究所の内藤 牧男氏と助教授の阿部 浩也氏は、「ナノ中空粒子」を用いてバルク材料に比べて同じ体積で質量が約10〜30wt%の極めて軽量な構造材料を作る技術を開発した。この方法は、ナノ中空粒子を形成する素材であれば適当であることから、単一組成の構造材料を軽量にできるだけでなく、有機物のナノ中空粒子と無機物のナノ中空粒子からなる有機/無機複合・超軽量構造材料を作ることもできる。
ナノ粒子は、粒径が数nmのナノ粒子(一次粒子)が集合してできる粒径が数十〜100nmの中空粒子である。中空粒子だけを凝縮して構造材料を作ることもできるが、材料の強度を高めるため、内藤氏らは表面にナノ中空粒子を付着させた繊維を集め、数kgf/cm2ほどの圧力で圧縮して構造材料を作った。加熱処理は行わない。
既にさまざまな材料にこの方法を適用しているが、例えばシリカ(SiO2)の中空ナノ粒子と約10wt%のガラス繊維で作った構造材料は、すべてをシリカで作る場合に比べ、質量が約15%(空隙率が約85%)になった。今回の新製法は、様々な産業分野で活用される可能性がある。