α-Ti相内での酸素原子および窒素原子の固溶現象を利用し,焼結過程での酸化物や窒化物の熱分解を促すことで固溶強化,化合物分散強化,結晶粒微細化,転位強化などの複合的強化機構を発現することでチタン焼結材の高強度化を図る。併せて、hcp構造を有するα-Ti結晶のc軸とa軸方向での格子定数比を管理することで主すべり系を管理し、延性の著しい減少を抑制するといった高強度・高延性に資する材料設計原子の検証を行う。
金属粉末にレーザを照射して溶融し、その後の急速凝固・冷却現象を利用した非平衡組織や超微細構造、さらには過飽和固溶状態を形成することで、力学特性の飛躍的な向上を図るべく、新規合金設計およびプロセス開発を進めている。
CNTが有する優れた力学的および熱・電気的特性を金属材料に転写すべく、CNTの単分散法による複合材料の創製を行う。
CNT-マトリックス界面の構造解析や炭素系ナノ化合物の合成挙動解析を通じて複合材料の強化機構を解明し、CNTの真の機能発現に向けた材料設計を構築する。
第一原理計算を主に用いて金属材料の結晶内における溶質(固溶)原子の構造安定化を予測し、その結果を利用して固溶強化挙動に係る原子の振舞いを包括的に理解すると共に、実験解析結果との対比・検証を行うことで強度予測モデルを構築する。
最軽量工業用金属材料であるマグネシウム合金と耐腐食性に優れたチタン材からなる異種接合材料において、その界面構造解析を通じて直接接合機構の解明を試みると共に、Ti/Mg-Al合金の接合強度に及ぼすAl成分および接合条件の影響を解明する。他方、マルチマテリアル化において、異種金属接合から金属-樹脂の組合せにおける無機・有機接合へのニーズが高まるなか、本研究では、加熱・加圧環境下での結合過程における樹脂を構成するC=O結合の分解と構成元素の金属との反応機構を解明し、なかでも酸素原子の金属側への拡散・固溶現象を利用した新たな金属と樹脂の直接接合法の構築を目指す。
非食部バイオマスである「籾殻・稲藁」に含まれるセルロース系有機成分を有機酸のリーチング処理した後、15~20%程度のシリカ(SiO2)を非晶質状態で抽出するバイオマスの完全再資源化プロセスを構築すると共に、植物由来の多孔質構造を有する高純度シリカ粒子の利活用を考える。
異種金属の接合界面では、2物質の標準電極電位の差に起因した電池効果によりGalvanic腐食が進行する。走査型ケルビンプローブフォース顕微鏡(SKPFM)を用いて界面での電位差を直接計測し、腐食速度との相関性を定量化することで局所界面を起点とする腐食現象を解明すると共に、耐腐食性向上に適した界面構造設計を提案・実証する。
環境負荷物質である鉛(Pb)に代る黒鉛微粒子の均一分散と、急冷凝固法による遷移金属元素の強制固溶およびナノ粒子の析出強化により、高強度と快削性を両立する完全鉛フリー黄銅粉末合金の材料・プロセス設計の確立を目指す。
最軽量工業用金属材料であるアルミニウム材や耐腐食性に優れたチタン材は、摩擦摩耗特性に関しては鉄鋼材料と比較して劣っていることから、粒子分散や表面改質などの強化機構を発現することで摩擦摺動性能の向上を目指す。加えて、生体材料としてニーズの高いチタン材において、細胞付着性および生体適合性の検証を行う。