研究課題・概要
主な研究課題
- 接合界面制御による鉛フリーはんだ接合部高信頼性化と実装機器の長寿命化
- 鉛フリーはんだの各種特性評価とその特性改善
- 各種熱源を用いた微細接合プロセス開発とその継手性能評価
- ナノマテリアル・ナノ構造を利用したスマートボンディング技術の確立
- 金属フィラーを用いた導電性接着継手の高信頼性化
- 金属ガラスなど先端材料の低温接合プロセス開発及び接合特性評価
- 微細接合部界面の高信頼性化と耐食性評価
最近の研究概要
1.低融点鉛フリーはんだ接合部の特性改善
汎用のSn-Ag-Cu系鉛フリーはんだの場合、弱点の一つにSn-Pb共晶部はんだに比べて融点が高いことなどが挙げられプロセス温度の高温化が問題となっており、また接合対象部材に耐熱性の低い有機材料も多く含まれるようになったことから、接合プロセスの低温化が求められている。そこで、138℃の融点をもったSn-Bi共晶はんだなどに注目し、元素微量添加による特性改善などに取り組んでいる。
2.レーザなどの新たな熱源を利用したはんだ微細組織及び接合信頼性の評価
エレクトロニクス製品の多様化にともないはんだ付などの微細接合プロセスへの要求も多様化している。従来型の多点一括接合用の熱源だけでなく、例えば半導体レーザなどの短時間局所加熱用の熱源などの要求も高まっており、はんだバンプをレーザ加熱した際のはんだ微細組織や衝撃特性の評価・向上などに取り組んでいる。
3.金属粒子やナノ構造化を利用した高温はんだ代替接合技術の開発
パワーモジュールなどに使用される高Pb含有はんだ(Pb-5Sn, Pb-10Snなど)の有害物質フリー化が求められており、高温はんだ代替接合材料として表面をナノ構造化したインサート材料やマイクロサイズの金属粒子などを用いる新規焼結型接合技術の構築に向けた基礎研究を行っている。
4.導電性接着剤の各種特性向上
鉛フリー化の取り組みが盛んに行われている昨今、鉛含有はんだに代わる様々な材料が開発されており、その中でも低温実装が可能な樹脂と導電フィラーの複合材料である導電性接着剤に注目している。導電性接着剤を広く実用化するにはいくつかの問題を抱えており、金属ナノ粒子などのナノ材料を導電フィラーに適用することを試み、導電性接着剤の導電性・放熱性・接合強度などの特性向上に取り組んでいる。
5.ワイヤ接合部の高信頼性化
ワイヤボンディングは、チップ上の電極とリーグフレームや基板上の管路導体をワイヤで接合する技術である。現在、多ピン対応の細線ワイヤには信頼性の観点からAuワイヤとAl電極の組み合わせ主流となっているが、近年、コストなどの観点からAuワイヤの代替材料としてCuワイヤなどが注目されている。そこでワイヤ/電極界面の微細組織構造の把握や接合信頼性の評価・向上に取り組んでいる。
最近の研究成果紹介
焼結型接合材料のマイグレーション性評価に関する研究
パワーデバイスの半導体チップを接合する新たな接合材料として、Agナノ粒子などを利用した焼結型接合材料が注目を集めています。焼結型接合については、これまで材料自身の合成や接合プロセス、接合強度に関する研究が多く行われてきましたが、想定される電流密度が低かったこともあり、信頼性に影響を及ぼすエレクトロマイグレーション性の評価はほとんど行われてきませんでした。そこで、Agナノ粒子を利用した焼結後の材料に対してエレクトロマイグレーション試験を行いました。実施内容の詳細は、下記報告書をご覧ください。
この事業は、オートレースの補助を受けて実施した事業です。